泣きたい私は猫をかぶる

さて,見事に三日坊主をぶちかましたわけで.

 

今日は分け合って早く家に帰り着いたので,この前から見たいと思っていた映画を見た.

いわゆる「シラフで見たら死ねる」類のやつなのはわかるのでお酒を買いに行ったわけだ.

部屋着のまんまサンダルで近所の酒屋にいって「まいど!」って言われながら缶ビール3つとこだわり酒場レモンサワーを買った.

 

ここらには1件だけあるスーパーの横をすぎるときに,異常にいい匂いがした.

焼き鳥のにおい.前には短パンTシャツで赤ら顔のおっさんが並んでた(ぼくじゃない).

そんなアホみたいな誘引剤にはもはやアラサーと成り果ててしまったぼくは耐えれず,赤ら顔のおっさんとぼく(おっさん)で「はははw今から1杯ですかw」とかいいながら焼き鳥を買って,いまさっき家で焼き鳥を食いながら,例の「見たかった映画」を見た.

 

脳みそが中学生レベルで止まってるぼくは,それこそばかな女子中学生や,ともすれば小学生が好きそうなコンテンツが大好きで。

 

ということで今日はタイトルにもある「泣きたい私は猫をかぶる」を見ました.

見ようと思った経緯は,ヨルシカの曲経由.

花に亡霊.いい曲ねぇ~~~って思って聞いてたら映画の主題歌になってんじゃんってことで見ました.

あの人の曲…女子中学生とかが好きそうななんとも言えない暗い感じでいいんですよね…

 

いまさらぼくのブログ眺める人がネタバレがどうたらとかいう人はいないと思うけど,見てすぐの素直な感想とかを転がしとこうと思う.多分これは後で見たら痛くて死ぬ.

 

ジャンルとしてはいわゆる青春ファンタジーモノなんだと思う.

アニメーションとしては別に特に「作画がすごい!」とか「動きがやばい!」とかはなかった.

 

内容自体も例えば新海誠作品みたいな「キモさ」とか,宮崎駿高畑勲作品みたいな「説教臭さ」とかは別にない.

 

印象に残ってるシーンは,主人公が書いたラブレター(のようなもの)をちゃかしたクソガキのシーン.

「(若い頃は)言いたいことが『上手く』言えない,やれない.」多分それはひとつこの作品で重要な事だと思うけど,それを割と上手く表現していると思った.

 

(これは個人的な趣味の話だが,気丈に振る舞う系の女の子が感情を顕に怒ったり,泣いたりするシーンは本当に好きなんですよね…不幸になってくれとかそういうことじゃなくて,感情の吐露に対するカタルシスというかなんというか…)

 

「若い頃は上手くやれない」というのはおそらく全体的に漂うもので,大人が押し付ける「好きにやれ,それでいい」感も正直感じる.

 

終盤で,かつて「上手くやれなかった」人たちの懺悔のようなシーンはあるが,そんなものを現状で上手くやれない人間に対して見せる意味なんてないだろう.

大人が自己満足的には「俺は上手くやれなかった」というだけであって,上手くやれない人間は,上手くやれないなりにもがくしかない.

 

物語の終盤はそんな大人のエゴい部分が見え隠れする中で,「上手くやれない人たち」がもがく決意をする.

 

その決意は「上手くやれなかった大人」からするととても眩しく美しく見える.

 

ただ,果たして今,「上手くやれていない」人たちが見たときは多分これは「そんなものねえんだよ」って思うんだろうなと感じた.

 

それは,終盤登場するかつて「上手くやれなかった」人たちが主人公たち「上手くやれない人」を助けるシーンにある意味で集約されている.

 

そこでは「上手くやれなかった人たち」がかっこよく,かつて上手くやれなかったことを精算するように主人公を助ける.

 

ここまでのほぼすべてのシーンが若年層に向けて書かれているのに対して,ここの部分だけ,かつて「上手くやれなかった」と考えながら(もしくはそれさえ忘れて)生きている大人たちに対するメッセージに感じる.

 

 

ニュースを見ても「かっこいい大人」なんてものが壊滅的に存在しない世の中で大人の責任について少し考えさせられた.

 

ただ,そのメッセージ性は作品において少し押し付けがましく出てくるため,なんとも言えない感情に大人の僕はなってしまった.

 

まぁ,そんなメッセージ(っぽい)ものだとか無理やり拾おうとしたものはどうでも良くて.

 

ここからは単純なぶぶんをあげていこうと思う.

1. 主人公が,男の子のことを好きになる理由だとか,過程が少し掘り下げが浅くて,最後のシーンに至ったり,猛アタックする理由に説得力が足りなかった.

まぁ中学生が人のことを好きになる理由なんて,ほんと些細なものである意味でリアルなのかもしれないが.

 

2. 内ハネの髪型+気丈に振る舞う系女子はずるい.

ぼくね・・・さっきもいったけど・・・そういうの・・・とても好きなんですよ・・・

 

3. 猫の動きとかはすごく研究されてるなぁ.

猫の筋肉の使い方とかその周りはすごく丁寧に書かれているだけに,「にゃあ~」の声が多少気になる.

 

最後にネタバレ的な部分こみで

昔(と言っても数年前 )猫をかっていたが,もしあいつがもともと人間(もしくはたまに人間)だったら,俺はどんなふうに見えていたかなぁとか,そういうことを考えちゃって,少し苦しくなった.

物理学会の秋の分科会に出張に行く前日にくたばりやがったあいつが,俺とじゃれてた日々を楽しかったと言ってくれていることを祈るばかりである.

 

というわけで,まぁ絶賛!見ない意味がない!見ずにアニメ史を語るな!とは言わないけど,見終わったあとで少し幸せな気持ちになるようないい作品でした.

 

以上,ビールロング缶1缶,350ml1缶,こだわり酒場レモンサワー1缶のキメた今も何も「上手くできない」大人の「明日見直すと恥ずかしい」文章.