引くに引けぬあれ
寝ようと思っていたんですけど,人に書け書けいった手前引けなくなってる状態です.
特に今日は面白かったことも,悲しかったこともありません.
…
ひとつ,面倒事から逃げてた件についてボスから警告を頂いたくらいですね.
まあそんなことはどうでも良くて,ネタがないときにとっておこうと思っていた,「研究」に関して少しだけ書こう.
「大学で何研究してるの?」
この質問は結構厄介で,「物理だよ~」と至極まっとうな答え方をするととたんに
「宇宙の始まりは!?」
「ブラックホールは?!」
「エヴェレット多世界解釈は!?」
みたいなアニメか漫画かでみたような「キラキラした」物理学に関しての質問が無限に飛んでくる.
やっちまったなぁと思うと同時に少し嬉しくもある.
物理学なんていうニッチな分野にワクワクするものを少しでも人はまだ持っていたんだと言う気持ちになる.
一方で,僕が携わってるのは「実験系物性物理学」であり,キラキラした(正確にはキラキラしてるように見える)物理学ではない.
キラキラしてるように見えるのはごくごく一部の物理学だけだ.
物理を細分化すると同分割するか?ということを考えたとき,まず思い浮かぶのは日本の物理をすべて取りまとめる学会「日本物理学会」の分け方だろう.
「素核宇」「物性」
この2つがまず大きく二分されている.
素核宇はつまり「素粒子・核物理・宇宙」
物性はまあ,そのとおりだ.
今回は,物性について見ていこうと思う.
物性物理学は,読んで字の如く,「物質の性質」に関する研究分野だ.
「物質」ということばは非常に範囲が広く,ある意味で「素粒子」や「原子核」や「宇宙(に漂うなにか)」がすべて「物質」である.
「性質」 も幅広く,例えば冷たい,温かい,硬い,柔らかい,黒い(BLM!)…
これらから,僕は,物性物理学とは「なぜ『それ』が『それ』たらしめているのか」を探求する分野だとおもっている.
その物性物理学の中には先の画像のように更にたくさんの分野分けがされている.
耳に馴染みのあるような「プラズマ」や「放射線」「超伝導」に始まり,普通の生活をしていたら全く聞いたことのないような「メゾスコピック」だとか「密度波」とか「強相関」だとか.
「『それ』が『それ』たらしめているのか」を研究するにあたって,この分野は互いにクロスオーバーし,厳密なジャンル分けは現在難しくなってきている.
お互いがお互いに助け合ったり,別の方面から見ることで新しい「『それ』たらしめる」ルールを見つけたり,最近ではそういう領域横断型の研究が「上」的にも人気が高いし,実際重要だと思う.
話は戻って,僕が携わっている研究は「実験系物性物理学」だ.
実験系という言葉がつくからには,実験をする人たちである.
今この世の中では実験という言葉はすでに曖昧になっていて,実験と対を成す(なしていた)「理論系」と混ざり始めている.
いわゆる「実験屋」と「理論屋」の関係だ.
理論屋が四六時中うんうん唸りながら編み出したものに対して,実験屋が白衣を着ながら試験管とフラスコを使ってボカン!
みたいな時代はもはや終わってしまって,今は実験屋も四六時中うんうん唸るし,理論屋もツナギを着て実験系を構築したりする.
ただ,理論屋と言われるような人々も実験屋と言われるような人々もやっぱり現代も健在で,理論屋はコンピュータをつかって物性,今までよりも詳しく言うと例えば
「電気をどのように流すか?」
とか
「どのように熱を運ぶか?」
とかを原子1個から,いや電子1つレベルからシミュレーションを行って,実際の物質に対して『予言』を行っている.
一方で実験屋は何をしているのだろうか.
理論屋がこれまでに「予言」したものはたくさんあるが,「確かめようのなさそうにみえるもの」だとか「今の技術では無理なもの」とかがゴロゴロ転がっている.
それらに関して半ばドカタ職人のような嗅覚を持った実験屋が油まみれになりながら装置を組み上げたり,命を削りながら徹夜で「質より量」作戦を行ったりすることで,「予言」に対する答えを探しているのだ.
その過程で様々な「やってみた」が生まれる.
その「やってみた」の中から次の疑問や,はたまた世紀の大発見が生まれるのだ.
ぼくはそんな「実験系物性物理学」の世界に今現在は身を投じている.
その「実験系物性物理学」の中で実際には「どんな「物質」のどんな「性質」について興味を持っているか?」に関してはたぶん明日か明後日か,書くんじゃないかなぁ.
書いたらいいね…